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「…………」
ジンがたどり着いたのは学校から歩いて10分程した所にある公園
そこはジン達が帰りによく通る場所であり、ジンの目的はそこにあるベンチだ
小高い丘の上に作られた公園のベンチからみる景色は最高である
巷では夕焼けが綺麗に見える穴場スポットとしてカップルに人気があった
しかし今ではそのベンチは花や菓子、ジュース等で埋められている
ジンはここで2人の大事な人を失った
幼なじみであり、部活のマネージャーをしていた春山 里奈
そして 昔の ジンの良き理解者であり、良きパートナーだった双子の弟である漆原 翔
2人はここで殺されたのだ
ちょうど今日の様な赤い空の日に
「…………はぁ」
3人で写った最後の写真を眺めるジン
生まれつき髪が赤く、ツンツンした髪型だが笑顔が優しそうと評判だった兄の迅
兄とは対象的に少し長めの黒髪に色白の肌、目がキリっとしていて見るからにイケメンの弟である翔
そんな2人に挟まれて無邪気に笑っている長髪で少し栗色の混じった髪色をして、2人の肩に腕を回している里奈
本当にあの時は楽しかったと、そう考えるといつもは流れないはずの涙が人知れず写真に落ちた
この場所に来ると何故か涙が出てしまう
しかし止めようとは思わない
「翔…、里奈……、またインハイ行けなかったよ」
そう嘆くジンは涙で笑顔がぐちゃぐちゃになっていた
そして誰にも気付かれないように声を殺して泣いた
みんなの前で我慢すればするほど、1人になると余計に涙がこぼれた
ここに来ると、2人にまた会えるような気がして…
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