おぉ、どう?ファンタジー

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ジンはベンチの向かいにあるフェンスに腰掛けていた 気付けば日は完全に沈み、目の前は不気味な程暗い空で覆われている 振り向けば遥か向こう側にまだうっすらと光が見える でも直に無くなるだろう 上を見れば街の明かりで見え辛くなっている星が小さいながらも確かに瞬き、光を放っている 今日は少し細めの三日月だ 「……ケンカ売ってんのか?それともニヤついてんのか?」 どちらにしろどうでもいいけどな、とため息をつきながらベンチに目を向ける 花や菓子などはいつも誰かが入れ替えたりしてくれている 里奈はチョコが大好きだったのでチョコ菓子ばかりがお供えされていた 一方翔の方はコーラが大好きだったのでとりあえずメチャクチャな量のコーラがあった 「お前らは中毒か」 大好きなものを頬張る2人の様子を思い出すと頬が緩むジン ジンは泣いたあとの落ち着く気分が意外に好きだったりするのだ 「いつも親切にご苦労さん」 誰が入れ替えているのか分からないがお礼を言うジン 「罰当たりだけど今日位は許せよ?」 ジンは申し訳無さそうにベンチからまだ真新しいコーラとチョコを拝借した 「明日にはまた増えるんだからお前らの残した分はオレが貰う」 ケラケラと笑いながらコーラを開け、チョコの包み紙を破り、両手を高く掲げた 「いただくぜ。 ……乾杯」
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