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「………ふぅ」
完食し終えたジンは満足そうな顔だ
「……あれ?ジンか?」
そこに現れたのは1人の青年
「……おっ、優真じゃねぇか!!久しぶりだなぁ!!」
ジンが優真と呼んだ青年は見るからにヤンキーであった
金髪のロン毛
耳にピアス
顔半分をマスクで覆い
そして何故か特効服
そんな彼が両手で花を抱える姿は不自然極まりない
「なんだよオメェその格好は!!」
大口を開け腹を抱えて爆笑するジン
完全にツボに入った
「いいじゃねぇか!!なんの花持って来たらいいか分かんねぇから薔薇の花を買いまくってやったんだよ!!有り難く思えや!!」
「誰にプロポーズすんだよ!!」
恥ずかしさのあまり顔が真っ赤の優真、笑い過ぎて顔が真っ赤のジン
実はこの優真と言う男、昔街で肩がぶつかった翔にケンカを売ったが、翔と一緒にいたジンに返り討ちにされたのだ
しかしケンカを売られた側の翔の優しすぎる対応とジンのあまりの強さに惹かれ、それ以来連絡をとりあったりたまに遊んだりする仲にまで発展し、いつしか名前で呼び合い友達と言うより3人目の兄弟の様な関係になった
優真は翔の死をジンのメールで知った途端、家を飛び出しバイクでこの公園まで駆け付け、鬼の形相で辺りを見回した
警察や野次馬がどよめき合う中で「犯人はどこじゃ!!!殺したる!!オレが殺したるから出て来いやぁ!!!」と泣き叫んでいた
見かけによらず人懐っこく、特に翔の人柄の良さを誰よりも痛感しているため他人より悔しさがより一層強かったのだろう
翔が殺された日、ジンと共に朝までこの公園で泣いていた
その手には爪が食い込み、地面を殴りすぎたせいで痛々しい程血が流れていた
優真とは、そんな男なのだ
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