第二章

4/34
前へ
/56ページ
次へ
「そんなことよりも」 そんなことよりもってお前、この懸案おざなりにしたら駄目な気がするんだよ。なんとなく。 「なにをそんなに心配してるのかわからないけれど断言してやるよ。絶対に大丈夫だ。だから、そんなことよりも、だよ」 大事な試験の前日かのような、いつになく真面目な表情の高志に思わず聞き入ってしまった。 「なんだよ?」 「そろそろ離れてくれないか? というか放してくれ。さすがにテンション上がりすぎだろ」 こんな願ったり叶ったりな状況じゃあテンションも上がるだろう。 ここではっちゃけなきゃいつはっちゃけるというんだ。 気持ち高ぶる勢いのまま高志に飛びついて、あれから腕はいまだに高志に絡みついたままだった。 高志お前、なかなか我慢強いのな。 そんな酔っ払いじみた行動されたら、俺なら即効ひっぺ返してやるけれど。 そう思うと、なるほどたしかに今の俺は相当にうざいな。 羽目を外しすぎかもしれない。 これじゃあキャラがぶれてると思われても仕方がない。 まるで二人の人間に(二つの人格じゃないところがミソだ)操られているみたいだ。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加