第二章

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「そういえば空気が澄んでいてよく晴れた日なら、あの山の頂上から俺らの住む町が見えるみたいだぞ」 俺は適当な山を指差してみずきに言った。 何か言いたげな目で見てくる高志はシカトする。 まぁ黙って見とけ。 「そうなの!? それ凄い! CBC大会なんてほっぽって登山しようよ! 今日なら絶対見えるでしょ!」 かかった。 「まぁ待て、暫し」 なーに、時間なら山ほどあるだろう。 小旅行がてら夏休みにでもまた来ればいい。 その時にでも三人仲良く登山といこう。 「あっ、それいいかも! 約束だよ!」 「ああ、約束だ」 その時はちゃんと謝ってやるよ。 頂上で。 「高志もだよ? わかってる?」 みずきのハイなテンションに高志は、 「おー。その時はちゃんとエスコートしてやるよ」 と適当にあしらうように返して、 「それにしても随分と人が少なく感じるな」 もう一度辺りを見渡してそう口にした。 おい、折角みずきのご機嫌とってやったのにそんなおざなりにしてまたへそを曲げたらどうするんだ、もう俺にはどうしようも出来ないぞ、と思ったけれどみずきは特に気にすることもなく、 「ホントそうだよねー。ここで合ってるのか疑わしいくらい」 おいおい怖いこと言うなよ。
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