第二章

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俺はなんだか無性に怖くなって、財布に折りたたんで入れてあるハガキをとる。 今回の大会では事前にCBC公式サイトで大会エントリーを済ませ(これがめんどくさかった、名前、所持カード、住所などありとあらゆる個人情報を聞き出された)その後各自宅へと招待状と称したハガキが届いた。 そのハガキがこれである。 なんの変哲もない所謂普通のハガキ。 大会日時と集合場所(四つの駅名が並んでいてそのどれかに丸で囲われている)公式サイトのURLが載っているだけの簡単なハガキ。 「日時も場所も合ってるぞ?」 集合時間にもまだ若干ではあるけれど余裕がある。 具体的にいうならば三十分くらい。 「え、知ってるけど?」 さも当然のようにみずきは言った。 なんだよ。 冗談だったのかよ。 「いや、冗談ってより言葉の綾って感じかな」 言葉の綾ねぇ。 なるほどなるほど。 何がなるほどなのかわからないまま心の中で頷いていると、高志が口を開いた。 「いくら人が少ないと言ってもそれは、CBC大会の集合場所にしては、だろ?」 確かに。 こんな、田んぼと山くらいしか見所がなさそうな(失礼)なにもない田舎町(失礼)に、わざわざ下車する人などそういないだろう(失礼)。 ざっと見て五十人。 これが多いのか少ないのか、それはなかなかどうしてどちらとも言えそうな数字だった。
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