第二章

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さてと、どうするか。 「いつもだったら受付か、運営の人がプラカード持ってたりするのにねー」 みずきの言う通りだ。 「ここにいる奴ら全員がそわそわしてるところを見ると、そういった類のものは誰も見つけてないみたいだな」 言われてみれば、皆そわそわしてる気がする。 ま、とりあえず適当に聞いてみるか。 「あ、すいません。ここってCBCの大会の会場であってますか?」 近くにいた俺らと同い年位の青年に声をかけた。 「...」 は? 何故こいつは返事をしない。 「すいません、ここってCBCの大会の会場であってます?」 「...」 どうやら声をかけるやつを間違ったらしい。 解らないなら解らないでいいから、そう言ってくれ。 目の前にいるこいつは返事をしないどころか顔すら向けてこない。 完全に地雷だ。 「ぱっと見なんとなく翔ちゃんに似てるのに、中身は全然違うね」 みずきが笑いを堪えたような声で高志に話しかけている。 俺はこんなのとは似ても似つかんぞ。 「翔も十分ヤバいやつだけどな」 聞こえてるぞ。 「言えてるー」 言えてない。 などと、ふたりの会話に心の中で訂正を加えていると、青年は急に歩き出し、どこかへ行ってしまった。
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