第二章

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それでも。 なんとなく。 本当に何となくだけれど、今の奴にはなにか感じるものがあった。 まるで鏡でも見ているかのような。 鏡の中の自分でも見ているかのような。 正反対で真逆で。 正反対であるからこそ似ている。 なんとも気味の悪い。 ずっと見ていると気持ちの悪くなりそうな、そんな存在だった。 長い付き合いになりそうだけど。 あまり長くは付き合いたくはないような気もするなあ。 と、何とも言えない嫌な予感を抱いていると。 そいつと入れ替わるように、 「呼ばれてないのにじゃじゃじゃじゃーん! ワタクシドリーム・キングダム、通称王国から派遣されてきました案内係の道筋順でゴザイマース!」 駅前のターミナル(擬きの開けた場所)に居座っていた参加者たちの中央に突然声が響き渡った。 なんだか馬鹿っぽいのが出てきた。 最初からクライマックスみたいな。 超ハイテンションボーイ。 伯爵が被っていそうな長めシルクハットのような帽子をかぶり、超厚底靴、奇抜な色模様のスーツを着た男性。 声からして女性かも知れなかったが仮面を被っていて窺い知れない。 ドリーム・キングダム? 王国? なんだそれ。 「えっ本当に言ってるの?」 「本当もなにも、俺は嘘がついたことがないよ」 嘘だけど。
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