第二章

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俺の小言は無視してみづきは続ける。 「ドリーム・キングダム、通称王国。それはCBCを開発運営している会社だよ?」 へぇそうなのか。 「私でも知っているのになんで翔ちゃんが知らないの」 悪かったよ。 その辺の勝負事に関係がないようなことはどうにも覚えるのが苦手なんだ。 例え普段から見聞きしていても頭の中に入ってはいかないというかなんというか。 「んー、まぁ。翔ちゃんらしいっちゃらしいけどね」 「それで、その案内係がなんだって?」 「聞く限り別にまだ大したことは話してないよ。ただテンションが高いだけで」 唯一ちゃんと道筋氏の話を聞いていた高志は少し疲れぎみに言った。 「以上でー、自己紹介の方を終わらさせてイタダキマース! ご清聴ありがとうゴザイマース! 続いてー今回の大会のルール説明デース!」 まさか今の今まで自己紹介とは。 高志はよくこの時間耐えたものだよ。 「まず最近に申し上げまして、この大会には予選というものがアリマセーン!」 予選がない? 一体全体どういうことだ? 「端的に申し上げまして、決勝ステージに到着するまでが予選なのデース!」 道筋氏は、まるで小学校の教師が「遠足は家に帰るまでが遠足です」というかのように。 さも当たり前かのように。 言わなきゃ可笑しいかのように。 そう言った。
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