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「あなた達の友達の要君…今日あの神社で行方不明になったの」
要が?そんな馬鹿な、今日一緒に遊んだはずだ…
天気占いをしていたはずだ。
なのに…どうして…
「最後まで遊んでいたお友達によるとね、後ろにいたはずの要君が、突然消えていたらしいのよ、たった数秒だったんだって、要君の姿を確認してからたった数秒…振り返ったら要君はもう…」
僕は母さんの予想外の話に、ただその場に立ち尽くすことしかできなかった。
「それで、要は?」
母さんは、俯きながら首を横に振った。
「近所の人達や要君の家族が血眼で探したわ…でも…」
「なんで!なんでもっと早く言わないんだよ!」
「言ったらあなた達、要君を探しに行くでしょ?もしかしたら要君…誘拐されたかもしれないのよ、あなた達を守るために」
「なら…なんで今言うんだよ…唯ちゃん、探しに行こう」
僕は唯ちゃんの手を掴み、走り出そうとした時。
「要君…死体で発見されたわ…」
僕の手から力が抜け、唯ちゃんの手を離した。
重苦しい空気の中、僕は、唇を噛み締め、どこにいるのかも分からない何者かに叫ぶことしかできなかった。
「すぐ…近くにいたのに…すぐ目の前にいたのに!!要は僕の前で天気占いしてたんだ!すぐ目の前で!!」
「仁君…」
唯ちゃんの温かい手のひらが僕の肩に触れた。
僕はその手を握り締め…耐えきれずに溢れ出た涙を唯ちゃんに見せないようにして、自分の部屋へと二人、歩いていった。
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