好きだらけの日々を

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いつものように疲れきった 覇気のない魂を引きずり   かすれた声で僕は 君に「ただいま」を言うよ   靴底と一緒にすり減らした 昔持ってた大事な何かが   もうここにないことだけは お互い見てみぬフリをして   でもそれが何だったのか 今じゃ確かめることも   怖くて二人踏み出せずにいる   当たり前の続いた生活を 優しい笑顔で暮らしてた   そんな僕らが作り出す明日を それはそれは楽しみにして   嬉しいことも悲しいことも 何もかも分け合って   ただ前だけを見つめてた 幸せな未来しか映らないほど   偉大な愛に委ねて     決まりになってたから言う 惰性でしかない「ただいま」   なぜ捨ててしまったんだ? どうしてまだここに在る?     いつの間にか独りで 冷えた夕食に手をつける   感謝しなくなっていた 当たり前に   涙が止まらなくて ずっと言えなかった   この言葉だけが   たった 一言の 台詞が   君を失うまで 言えずにいたなんて     ぐしゃぐしゃの顔で たくさんの思い出が 何度も頭を巡って   今になってやっと出て来る 埃まみれの写真と一緒に   当たり前だったからなのか 恥ずかしがったからなのか   わからないけど 「愛しています」   きっと 別れたこれからも
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