プロローグ

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以前にも言ったかもしれないが、かつての俺は極めて常識的な観点を持った人間だったと思う。 まぁ現実的な観点であるならば今も、お使いに出された幼い少年少女が親から託された小銭のごとく、固く握りしめ、肌身離さず持っている。 しかしかつては、ガキの頃見て信じてやまなかった、宇宙人や未来人、超能力者などの、SF漫画やSF映画の常連さんのような存在を、少しばかり大人びた程度の低能な脳みそを使って真っ向から否定していた。 宇宙人の巨大侵略ロボット? 異次元人が操る凶悪な怪獣? 人知れず地球を守るヒーロー? そんなもんいるわけねーよ! ってな感じにな。 だが今の俺は、そんなかつて程の迅速な判断が出来なくなってしまっている。 何せ、 宇宙人にも、 未来人にも、 超能力者にも、 僅か数ヶ月の間に立て続けて出会い、すぐさま同じ部活の仲間となり、今ではほぼ毎日のように顔を合わせたりしている、そんな日常の中で生きてしまっているのだ。 即座に彼等の存在を全否定しまうのは、この1年余りの間に散々世話になった手前、申し訳なく思える。
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