第一章

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あれは、夏の暑さがやっと和らいできた、9月の半ばを過ぎた頃の事だ。 俺は長い間で身に完全に染み込んだ習慣に従い、部室棟へと向かっていた。 大胆一緒に来ているハルヒは日直で遅れ、さっき通路でばったり出くわした古泉は、生徒会長殿に呼び出されたか何だかで、やはり遅れてくるそうだ。 長門はまず確実に先に来ていて、いつもの場所でいつものように読書をなさっていることだろう。 朝比奈さんは来ているのだろうか。 俺の勉強という苦行で全身にためた疲れを、綺麗に癒してくれるのは、あの方が煎れて下さるお飲み物と、あの方自身のお姿なのだ。 逸る気持ちを抑えつつ、しかし抑え切れず、心なしか足速になりながら、部室棟の一室であるSOS団の部室へと歩みを進める。
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