そのいち

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人気の少ない、もうじきに夜に飲み込まれるであろう夕暮れの中を一つの小柄な影が揺れる 影は音楽でも聞いているのか、軽く手で拍子を取っているらしい (段々と薄墨に飲まれる緋色は、綺麗) 家路についている筈の影は当て所なく見え、景色と相まって幽玄さを醸し出していた (自分もあの緋色のように溶けられたなら素敵なのに) ふと影が目を閉じるとぷつん、と不意に思考、そして身体が融解するような感覚に陥った 完全に途切れる直前、影の感じたものは他からの浸食のような温もりで (ああ、もしこれで溶けられた な ら) 眠るように影は堕ちた
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