第一話 『ひきょうもの』

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走って家に帰ってたわたしは、疲れて走るのをやめた。 とぼとぼ歩きながら、泣きじゃくりながらの帰り道。 昼間だけど、近所の人はいなかった。 誰にも見付からないのは嬉しい事なのか、そうじゃないのか、わからない。 でも、泣いてるとこはあんまり見られたくないから、嬉しい事なのかも。 どろどろに汚れた服。 あちこちに出来た傷。 それがどんな意味を持つカッコかなんて、わたしは知らない。 わたしは頭はよくないし、考え事はニガテ。 けど、勇気とか根性とかは、ちょっとは持ってるんじゃないかと思う。 それがイコール強さって事じゃないし、わたしは弱いし、すぐ泣くし、子供。 でも、子供には子供なりの意地みたいなのが、あるんだと思う。 難しい事はわかんないけど、負けたくないって気持ちは、あるんだ。 でも、子供だからすぐ泣いて、怒って、ムキになる。 わたしは、ミセリは、まだ小学三年生だから。
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