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数日経ち、仲間が更に二人死んだ。
生き残っている有髪族もみな倒れ、苦しそうに咳き込んでいる。
そんな中、レモナは火にかけ続けて外側の焦げた大鍋を、力無くかき混ぜる。
仲間達が死んで行く。
顔の見えない彼女も、あの場所になかなか訪れなくなった。
効かない薬を作り続けるその背中は、ひどく切なくて。
苦しむ仲間達は、その背中に薬が効かないと文句を言う事なんて出来なかった。
もう無駄なのだろうか。
不味く苦い薬ばかり飲ませるよりも、静かに死なせてやった方が良いのだろうか。
レモナの頭に浮かぶのは、安楽死と言う文字と、どうしたら苦しまずに殺せるか、その方法。
それを振り払うように、ぱさぱさになった髪を振って俯いた。
助けたい、助けたい。
でも、助けられない。
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