第五話 『ひつようあく。』

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レモナが薬を投げ捨てて、走り出した。 もう無理だ。 無理なんだ。 この手ではもう、あの病を治せない。 血を吐いた時点で、本当は分かっていた。 本当は気付いていたけれど、目を背け続けたんだ。 もう助からない。 みんなみんな、もう助からない。 腐っても医者の端くれ、それくらいの事は、レモナにも分かった。 なら、もう助けられないのなら、この手で、楽に殺してやろう。
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