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そして十分やそこらを歩いたところで、大きな木が目に入った。
昨夜聞いた誰かの言葉が正しければ、ここから東に行けばラムダ族の村がある。
レモナは躊躇い無くその木から東へと方向を変えて、ざくざくと歩いた。
後ろでは武器を杖の様にして歩く仲間達。
吐息、咳き込む声、転ぶ音、うめき声。
耳へと舞い込むそれらに意識を向けない様、レモナは黙って歩くだけ。
耳を傾けてしまえば、決心が揺らぐ。
優しくしてしまえば、もうここから動けない。
最後の最後まで、仲間達を苦しませてしまっている。
どんなに感情を抑え込んでも、このどうしようもない罪悪感だけは残ってしまう。
ああ、ごめんなさい、ごめんなさい。
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