第五話 『ひつようあく。』

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どの小屋の前を通っても、住人は皆、同じ反応を見せた。 レモナの足音を聞くと小屋から出て来て、その姿を目に焼き付ける。 そして静かに首を差し出し、切り落とす様に、レモナに促した。 死を望むラムダ族の態度に、レモナは表情を失う。 顔には仮面の様な笑顔を張り付けたままで、何も言わずに首を刎ねる。 ラムダ族は、知っていた。 自分達に残された時間はもうほとんどない事を。 レモナがそんな彼らに、死を与えようとしていた事を。 何故、と言う疑問は、もう浮かばなかった。 こんな事が分かるのは、一人しか居ないのだから。
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