第五話 『ひつようあく。』

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物置小屋から飛び出してきたのは、二人の子供。 この村で二人しか存在しない子供が、この二人なのだろう。 小さな緑の体に、先折れ耳。 純血たるラムダ族の姿をした子供が、びぃを助けようと声を荒らげていた。 ネーノと呼ばれた、目の釣った子供に押さえ付けられている為、こちらへ来たくても来られない、ノーネと呼ばれた子供。 あの押さえ付けられている方がびぃの子供なのか、とレモナは少しだけ、本心から微かに笑った。 そして二人に背を向けて、再び刃を振り上げる。 困った様な、悲しそうな顔で微笑むびぃ。 その首をしっかりと狙っい、ひゅおん、と空気を引き裂きながら、力強く降り下ろした。
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