第八話 『ひずむせかいうつるせかい。』

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─────────────── あなたの側に居るのが嫌で、私はそこから逃げ出した。 あなたにつけられた傷、たくさんの傷。 あなたに与えられた痛みも苦しみも屈辱も、忘れた事は一度もない。 耐えていたわ、何をしても無駄だと分かっていたから。 耐えていたわ、いつかあなたに復讐したくて。 だから私は逃げ出した。 あなたの側から逃げ出した。 それがあなたへの復讐。 私が側に居ないあなたは、きっと崩れてしまうから。 足元から、積み上げてきた全てが崩れてしまうの。 私と言う存在で積み上げてきた全てが。 一番陰険なやり方で、あなたを壊すの。
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