第八話 『ひずむせかいうつるせかい。』

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少女は子猫を抱き上げて、森の近くに向かった。 雨風をしのげて、誰にも見つからない場所。 無人の神社の片隅、小さな社に、自分のハンカチと子猫を入れた。 すぐに食べ物とタオルを持ってくるわ、呟いて。 出来た物は、少女と子猫の密なる時間。 少しずつ元気になる子猫、一人の時間が一人と一匹の時間に変わった。 一人の時間が好きだった。 けれど、これも悪くない。 少女は満たされる。 あの人に傷つけられても、子猫の存在が少女の心を保たせる。 大丈夫、あの子が居る。 大丈夫、一人じゃない。 大丈夫、大丈夫、私はまだ大丈夫。 大丈夫、言い聞かせる。
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