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少女は子猫を抱き上げて、森の近くに向かった。
雨風をしのげて、誰にも見つからない場所。
無人の神社の片隅、小さな社に、自分のハンカチと子猫を入れた。
すぐに食べ物とタオルを持ってくるわ、呟いて。
出来た物は、少女と子猫の密なる時間。
少しずつ元気になる子猫、一人の時間が一人と一匹の時間に変わった。
一人の時間が好きだった。
けれど、これも悪くない。
少女は満たされる。
あの人に傷つけられても、子猫の存在が少女の心を保たせる。
大丈夫、あの子が居る。
大丈夫、一人じゃない。
大丈夫、大丈夫、私はまだ大丈夫。
大丈夫、言い聞かせる。
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