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子猫は戸惑う。
自分を助けた人間が、傷だらけで笑う姿に。
弱々しくて、今にも折れてしまいそうな笑顔。
本人は気付いていない、限界まで雪を積もらせた小枝の様な笑顔。
いつ折れるかわからないその笑顔に、子猫は戸惑う。
けれど子猫は子猫でしかなく、どうすれば良いかも、少女に何が起こっているかも分からない。
日に日に雪を積もらせる小枝。
しなって、軋んで、いつ弾ける様に折れてしまうか分からない。
顔に絆創膏を貼った少女は、それでも笑っていた。
笑顔は少しずつ色を無くして行き、自分と遊ぶ指先には力が無い。
それでも、それでも、少女は笑う。
そしてある日、枝がぱきん、と折れてしまった。
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