第八話 『ひずむせかいうつるせかい。』

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少女は子猫を連れて、歩いていた。 不思議な景色、森の中。 子猫を引き摺る様に連れて、清々しい顔をして。 今まで自分を押さえ付けていた物から抜け出し、解放された少女は、ひどく清々しい気持ちに満たされていた。 そんな少女を襲うのは、反動。 頭を踏みつけられる様にして、全てを押さえ込まれていた。 その押さえ込まれていた全てが、少女と一緒に解放される。 ずっとしたかった事、あの人に対してしたかった事。 傷付けて傷付けて、崩して壊して、蹂躙する。 狭い場所から這い出した欲望は、好き勝手に暴れ回る。 カゴの中から飛び出した少女の胸には、黒くどろどろとした物だけが渦巻く。
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