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「そんな所、辞めて、正解」
「まぁ、そうだけどな……。ん?」
ん?
今、喋ったの誰?
反応してから怜奈達ではない発言者に気付いた涼介と、自分の背後で発せられた声に振り向く怜奈。
浅葱は二人の反応を見てから後ろを振り返った。
「今晩は、青井怜奈、愉快、仲間達」
怜奈の背後には、正座をして右手を上げる夜宵の姿があった。
今日は般若の面は、最初から頭の斜め上に掛けている様だ。
「こんばんは、あと変な纏め方しないで欲しいな」
苦笑気味にそう呟く怜奈。
出て来た事には気付かなかったが、夜宵が通って来たであろう歪みは、既に消されてあった。
単身で三人を相手にするなど、非合理的だ。
それはつまり……
「情報、提供」
夜宵は人差し指を立てて、微かに笑った。
つまりはそういう事だ。
夜宵は昨日の戦闘以降、怜奈に追撃は行わなかった。
怜奈を倒そうと思えば、いくらでもチャンスはあった筈だ。
それをしなかったという事は、夜宵はもう敵ではない。
怜奈の都合の良すぎる解釈だったが、どうやら強ち間違ってもいない様だ。
「青井、そいつ……」
だが、涼介や浅葱は状況を把握出来ていない。
夜宵の話を聞く前に、涼介達に夜宵に危険が無い事を理解して貰う必要がある。
怜奈はそう思い、夜宵にその旨を伝えた。
夜宵も肩を竦めるだけで、特に拒絶している風でも無かったので、怜奈は説明を始める。
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