30人が本棚に入れています
本棚に追加
――灰谷達がそんな会話をしている間、移動を終えた怜奈達は夜宵が口を開くのを待っていた。
この部屋は先程居た部屋よりも、かなり汚い。
倒れた箪笥に降り積もっている埃は、間違いなくギネス記録を更新する厚みだ。
そんなギネスがあるのかは知らないが、怜奈は待っている合間にそんな事を思っていた。
「……同じ家なのに、何でここまで違う?」
「人の出入りが無いからじゃないか?」
涼介達がそんな事を話していると、夜宵は振り返って怜奈達を見据えた。
「今回、鬼、全員、13鬼将」
四体全員が13鬼将なのか……
まぁ、その内一体は夜宵だから、実際の敵は三体だけど。
「情報、一」
夜宵は怜奈の前に、少し大きめな覗き用の歪みを作り、怜奈の横に並んだ。
歪みには三体の鬼が映し出されていた。
「右、アフ。中央、ヘマハ。左、マシト」
その名前を聞いて反応する浅葱。
涼介は目線を浅葱に合わせる様に屈み込んだ。
「知ってんのか?」
自分達の背後で行われる遣り取りに怜奈は振り返り、夜宵は口を噤む。
「……この鬼は知らない。でもその名前は知ってる」
更に問う涼介を見て、浅葱は無表情に答えた。
「……アフ、ヘマハ、マシト、三人合わせて、地獄の三天使という。要は天使の名前」
最初のコメントを投稿しよう!