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怜奈と浅葱が待つ、地下へ続く廊下へと足を進める涼介。
怜奈は、涼介がこちらに来たのを確認してから走り出す。
浅葱もそれに倣い、涼介が最後尾で二人を追った。
「三つ目の角の手前の部屋で一時間休むから、そこまで頑張って」
涼介の様態を見た怜奈は、休憩が必要だと判断した様だ。
走る速度、早過ぎる息切れ、贔屓目に見ても万全とは言えない。
そもそも、押し入れの中で熟睡しろというのが無茶な話だろう。
その事自体は吝かではないのだが、もう一つの不安が解消されずに残っている。
「…………」
夜宵に出て来られた時の対処法……
そんなの、ある訳ない。
目の前に居れば移動する前に止めれるけど、別の場所から来るのを止める事は出来ない。
仕方ない、夜宵の存在を確認出来ない以上、居ない事を前提に作戦を進めよう。
目的地に着いた怜奈は襖を引き、浅葱と涼介を先に入れる。
辺りを見渡し、安全を確認した怜奈も部屋へと入った。
「私と静が見張っとくから、涼介さんは休んでて。何だったら寝ても良いから」
「いや、流石にそれは……」
涼介は煮え切らない口調で断ろうとした。
女の子二人に見張らせて、男の自分が眠るというのは気が引けたのだ。
口にすれば"女性蔑視発言"と言われ、怒られると思った涼介は、その事は黙っていた。
別に怜奈達を蔑視している訳ではないが、言うなれば男が廃る、といった所だろう。
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