30人が本棚に入れています
本棚に追加
仲間を呼ばれては怜奈達が困る。
だが、夜宵にそれを拒絶する術は無い。
「どうした?さっきは出来て、今は出来ねぇってか?」
横に立つ夜宵を流し目で見下ろし、そう言うヘマハ。
その発言は、何かの異変を感じ取っている。
確信めいた口調と顔には、夜宵の裏切りを既に予知している、と言葉を発さずとも、そう言っている様だった。
「そんな事、言っていない」
夜宵は小さな歪みを作り、それに顔を近付けた。
その瞬間、怜奈は夜宵との距離を縮めて槍を突き出す。
止める口実を作らなきゃ……
「おいおい、邪魔とか野暮な事はしなさんな」
寸前で怜奈が突き出した槍を左手で掴み、後から突き出した右手で怜奈の顎を掴んだヘマハは、陽気な口調でそう言う。
身を退いた怜奈だったが、それを防ぐ事は叶わなかった。
ゆっくりと歪みから顔を離す夜宵を視野に入れる怜奈。
ヘマハの背後にある歪みを広げ、その脇から顔を覗かせた夜宵は手を後ろに振った。
「邪魔してんのは……」
お前だ!と叫び、前蹴りを食らわせようとする怜奈。
だが、受ける前に身体を右に向かせたヘマハは、右に視線を動かして口を開いた。
「こんなとこに都合良~く、ゲートがあんじゃん」
ヘマハは前蹴りを避け、勢いをそのまま利用して怜奈の背中を突き飛ばす。
最初のコメントを投稿しよう!