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「あの……、盗み聞きしてた訳じゃないんだけど、灰谷さんとの話を聞いちゃって」
あぁ……、と短く言葉を発して頷く涼介。
これから怜奈が聞く事を察し、考えを纏める。
怜奈も怜奈で、踏み入って良いのかが分からず、はっきりしない態度だった。
そんな怜奈の代わりに、浅葱が口を開いた。
「……似た者同士って?」
「あ、いや!言いたくなかったら良いんだけど……」
浅葱の発言を追うように、怜奈が焦った口調で喋った。
涼介の過去に踏み入る覚悟がまだ出来ていないのだろう。
だが気になっているのも事実。
それらが、この曖昧な態度に結び付いていた。
「いや、まぁ……隠す様な事でもないんだけどな」
そう言う涼介だが、自分も喋るまでは考えが纏まっていない様子だった。
長すぎる、そう錯覚するより早く、涼介は口を開いた。
「俺、警官だったんだ」
似た者同士、それは日本で数少ない、武装を許された職業。
怜奈と浅葱はそれを理解し、黙って涼介の話を聞いた。
「NN38ってのは、38口径のリボルバー式の警察銃だ。交番勤務の警官は、主にこの銃を使っている」
ポケットから銃を出し、それを手持ち無沙汰で弄る様に触る涼介。
「歩き方で分かったと言っていた。それは俺が柔道の有段者だからだろう。そういう奴らって、日常生活でも歩き方が少し違う……らしい」
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