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「アーサーさん…?」
「ぁ…悪い。……っ!!」
あ……
またその目……。
私を見てるのに
視線が合わないような…。
まるで私の中にいる誰かを見るような……。
「…………………っ!」
アーサーさんはいきなりわたしの肩をつかんで、何度も何度もゆらしました。
「なぁ、嘘なんだろ?なんで騙すんだよ!
いつもみたいに『アーサーさんをからかうの楽しいです。ふふ。』
って早く言えよ!!!!!」
それは……
過去の私ですか?
やっぱり…今の私を見ていたわけじゃなかったんですね…。
馬鹿ですね…私は。
なにも気付いてあげることが出来なかったんですね…。
一番傷ついてるのはあなたなのに――――。
けれど、私は本当に馬鹿でしたから
「ごめんなさい。」
としか言えなくて
「もう、私にかかわらないほうがいいです。
そのほうがアーサーさんのためにもいいです。」
私…ちゃんと笑えてますか?
笑顔歪んでないでしょうか…?
私、アーサーさんの事好きです。
とっても優しくて不器用で、そんなあなたが大好きです。
でも、あなたが見ているのは私じゃなくて私の中にいる誰かなんですね。
今の私じゃ駄目なんですね――――。
私が言い終わると
アーサーさんは無言で、でていきました。
ズキッ
「…………。」
呼び止めたい…。けれど、
それは許されない事です。
我慢しなくては…。
パタン
ドアは閉められた。
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