其の一

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「悪いね、お嬢さん。この通り男ばかりな所帯だ、五月蝿くてな。」 「いえ、大丈夫です」 「私がこの新選組局長を勤める近藤勇だ。宜しく頼むよ」 とりあえずこの人が局長の近藤さん、か。 ・・・写真で見たイメージよりも柔らかくて優しそうな人だな。 オジサンだけど。 「近藤さん、まだ宜しくじゃねえ。何にもこいつの素性は分かってねえんだからな?」 引き換え、土方さん。 貴方、鬼とは言われていても女にはもっとジェントルマンで優しいのかと思ってたわ。 正体だの、怪しいだの、何だってんだ。 「まあまあ、歳。こんな可愛らしく可憐なお嬢さんが間者なわけがなかろう」 「あんたは甘いんだよ・・・」 可愛らしく、はまだいいとして。 か、可憐なって・・・ 「まあ、いい。俺は新選組副長の土方だ。さっきから脇でうるせえのが・・・」 「自己紹介くらい自分でしますからっ」 土方さんの言葉を遮るようにして、すっと目の前に出る“そうじ”さん。 「・・・沖田総司」 「えっ」 あ、やべ。 先に口走った。 「お前、総司を知ってるのか?」 うわあ、やっぱ怪しまれてるーーー
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