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と、とにかく。
自分の事を先に話した方がよさそうだな。
「あ、あの・・申し遅れました。私、橘 好乃と申します。」
「うむ、好乃とはまた良い名だな」
近藤さんはうんうんと頭を上下に揺らしながら更に口元を緩ませる。
「えと・・・壬生寺で寝ていたとお聞きしましたが、私そのような記憶がなくて・・・」
「記憶喪失?!」
小さい人が立ち上がって大声をあげれば、土方さんの鬼睨みですぐ静まる。
「いや、そうではなくて。昨日普通に寝て、起きたらあそこに居た、というか。来てしまった、というか・・・」
そもそもこことは異なる時代から来ました~、とはなかなか言えない。
「何らかの影響で途中の記憶が失われている可能性はありそうですね?」
眼鏡をかけ凛とした表情の男性。・・・何か、山南さんぽいな。
「しかしよ、その布切れは一体何なんだよ?」
「そそるよな、なあ?平助?」
「うるせえよ、左之さん!黙ってないとまた・・・」
・・・だからいちいち口挟まなきゃいいのに。
せっかくの顔がしわしわになっちゃいそうなくらい、土方さんの表情は恐い。
「・・・信じて頂けるかは、分かりませんが、私・・・」
意を決して、
「み、未来から来たみたいです」
部屋に広がるように、そう告げた。
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