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それからはあっという間だった。
土方さんの指示のもと、慌ただしく幹部や隊士が次々と準備を整えていく。
夜も更けて、桝屋さん・・・古高さんの自白をもとに絞られた場所へ、二手に分かれて向かうのだ。
「近藤さん・・・」
「ん?どうした」
「・・・お気を付けて」
「大丈夫だ。心配せずにお前はここで待っていなさい」
まるで、幼い子を宥めるように頭を撫でてそう言うと、数人の隊士を引き連れて近藤さんは池田屋へと向かったのだ。
知っていることを、話していいものなのだろうか。
そうすれば、怪我人も死人もお互いに最小限に抑えられるかもしれない。
「土方さん」
「悪いな、今手が離せねえ。俺らも向かわなきゃなんねえからよ」
「違うんです!」
「あん?」
「・・・池田屋に。近藤さんの方に行かないと、意味がないんですっ」
もう、誰も傷つく所は見たくなかった。
少しでも、流れる血がないように。
正解か、なんて分からない。
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