其の八

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それからはあっという間だった。 土方さんの指示のもと、慌ただしく幹部や隊士が次々と準備を整えていく。 夜も更けて、桝屋さん・・・古高さんの自白をもとに絞られた場所へ、二手に分かれて向かうのだ。 「近藤さん・・・」 「ん?どうした」 「・・・お気を付けて」 「大丈夫だ。心配せずにお前はここで待っていなさい」 まるで、幼い子を宥めるように頭を撫でてそう言うと、数人の隊士を引き連れて近藤さんは池田屋へと向かったのだ。 知っていることを、話していいものなのだろうか。 そうすれば、怪我人も死人もお互いに最小限に抑えられるかもしれない。 「土方さん」 「悪いな、今手が離せねえ。俺らも向かわなきゃなんねえからよ」 「違うんです!」 「あん?」 「・・・池田屋に。近藤さんの方に行かないと、意味がないんですっ」 もう、誰も傷つく所は見たくなかった。 少しでも、流れる血がないように。 正解か、なんて分からない。
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