其の八

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悟られないようにと、少人数毎に屯所を後にする隊士達。 その背を見つめながら、何故か胸がざわめく。 何故だろう。 何か、何か思い出さなくてはいけない気がする。 「京もほんま物騒になりはったなあ」 皆が戻ってきた時にと、夜食の用意をしていると薫さんが呟く。 「そう、ですね。少しでも、治安が良くなればいいんですけど」 「今日はまた暑うてかなわんね」 「・・・」 確かに、今日はいつもに増して蒸し暑かった。 虫の音が静かに響く。 「・・・沖田さん」 「え?何か言わはった?」 気がつけば、夜道に向かって走り出していた。
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