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悟られないようにと、少人数毎に屯所を後にする隊士達。
その背を見つめながら、何故か胸がざわめく。
何故だろう。
何か、何か思い出さなくてはいけない気がする。
「京もほんま物騒になりはったなあ」
皆が戻ってきた時にと、夜食の用意をしていると薫さんが呟く。
「そう、ですね。少しでも、治安が良くなればいいんですけど」
「今日はまた暑うてかなわんね」
「・・・」
確かに、今日はいつもに増して蒸し暑かった。
虫の音が静かに響く。
「・・・沖田さん」
「え?何か言わはった?」
気がつけば、夜道に向かって走り出していた。
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