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「ぐ・・・」
血、の臭い。
蘇る、あの光景。
嫌だ、
嫌だ、
足が、がくがくと震えているのが分かる。
だけど、まるで自分の物とは思えないほど、感覚が麻痺していく。
その時、ふわっと別の香りに包まれた。
「お前、こんなトコに何しに来たんだよ」
「っ・・・」
声にならない。
包まれたのは、永倉さんの羽織で、
いつの間にか、私の目の前に立ちはだかっていた人影を素早く切り裂いたのは、
「本当、世話が焼けるね」
「へ、いすけく・・・ん」
熱いものが頬を伝うと、一瞬二人は驚いたようだが、暗闇の中の戦闘に素早く向き直った。
「土方さん達が来てくれたから、今ので終わったかな」
「いや、まだ上に居るかもしれねえ」
そこでようやく我に返る。
「お、沖田さんは?!」
「ん?総司は上に行ったはずだけど」
やばっ
こんな事で、怯んでいる暇はない。
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