其の八

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「ぐ・・・」 血、の臭い。 蘇る、あの光景。 嫌だ、 嫌だ、 足が、がくがくと震えているのが分かる。 だけど、まるで自分の物とは思えないほど、感覚が麻痺していく。 その時、ふわっと別の香りに包まれた。 「お前、こんなトコに何しに来たんだよ」 「っ・・・」 声にならない。 包まれたのは、永倉さんの羽織で、 いつの間にか、私の目の前に立ちはだかっていた人影を素早く切り裂いたのは、 「本当、世話が焼けるね」 「へ、いすけく・・・ん」 熱いものが頬を伝うと、一瞬二人は驚いたようだが、暗闇の中の戦闘に素早く向き直った。 「土方さん達が来てくれたから、今ので終わったかな」 「いや、まだ上に居るかもしれねえ」 そこでようやく我に返る。 「お、沖田さんは?!」 「ん?総司は上に行ったはずだけど」 やばっ こんな事で、怯んでいる暇はない。
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