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沖田さんを横たわらせると、あらかじめ持ってきていた手拭いを水で濡らして額にかけた。
「・・・血、吐いてないんですね」
「血?」
土方さんが眉間にシワをよせる。
私の発言がよく分からないといった様子だ。
「とりあえず、良かった。今は応急措置だけします。土方さん、沖田さんをなるだけ涼しい場所へ移動させたいのですが」
「あ、ああ・・・」
呆気に取られたように、そう答えた土方さんは慌てて他の隊士にも声をかけ、指示を出す。
「・・・好乃、さん」
「!沖田さん?!良かった。気持ち悪くありませんか?」
「なぜ、貴女が・・・ここに
・・・」
「それはとりあえず後で。具合はどうですか?」
後頭部を手拭いで冷やしながら、そばにあった着物を丸めて足を乗せ固定する。
扇子でぱたぱたと扇ぐと、沖田さんはホッとした様子で表情を緩ませた。
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