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無理矢理頭を動かして、兎に角今の状況を忘れようとする無駄な努力は、結果無駄に体力を消費させただけに終わった。
こっそり飴玉を口に入れ、あと少しの我慢と自分に言い聞かせつつ作業へと戻った。
沢山の児童書を眺め、懐かしい作品を見ては現実逃避をしながら仕分けする。
図書館のシールを剥がし、汚れを拭いてやれば充分にまだ使えるものばかりだった。
外が落ち着いてきた頃、こちらの作業も児童書のみ片付いた。
さて、今日は此処までと立ち上がった時
白い表紙に金の文字、花の飾り枠に一人の少女が眠るイラスト。
『Alice』
まだ残っていたのかとその本を手にとってみるも、図書館のシールもなければ汚れもない。
新品にしか見えない真珠色の本は、きっと紛れ込んでこの倉庫にしまわれたのだろう、誰にも読まれた形跡が見られなかった。
『アリス…か、不思議の国のアリスかな』
さてどうするか、と何の気なしに表紙を開いた。
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