ボクはその日、なんの為にその場所へ行ったのか…。

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ボクは本の仕分けをしながら、興味津々にこちらをみるアリスの相手をしていた。 椅子に本を広げた状態で置き、少しずつ周りを片づけていくと、片づけた分アリスの世界が倉庫を浸食していく。 偶に本がめくれる音が聞こえる、あの本はボク等の会話を記録しているようだった。 『そのちいさいのはなぁに?』 『あの天井にあるものは?』 アリスはボクの持ち物や、部屋にあるもの全てに興味を持ち尋ねてくる。 いつものボクならきっとウザったくて答えない事も、丁寧に教えてあげている事に気づいて内心苦笑。 『あなたはだぁれ?』 この問いにはとても困った。 何度答えても覚えてくれないのだ。 『ボクは…何だろうねぇ』 『あなたはだぁれ?』 最後にはこの繰り返しになってしまった。 不毛ながらもそれはそれで楽しい。 さて今日はおしまいと、本を閉じて少し高い棚へと仕舞い、今日は仕事とアリスとの交流を終えた。
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