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アリスは元々ボクの森にいたんだ。
だからボクの森に戻さなきゃいけない。
先に進んでも女王にいじめられるだけなんだし、ボクの元にいても良いじゃないか。
それでもアリスは大人しくしていてはくれなかった。
仕方がないとは思っていたが、世間を騒がせ始めた辺り放置もしていられない。
昨今の少年少女の犯罪は殆どがアリスの悪戯なんだ。
アリスは物に入り込むのをやめ、人に入り込むようになった。
入り込まれた人は精神を病み、やがて犯罪を犯す。
だからこれ以上被害者を増やすわけにはいかない。
ボクがアリスを捕まえなきゃ、これからもアリスはあちこちに悪戯して騒ぎが広がっていくばかりだ。
「あの、一緒にカラオケ行きません?」
また一人、声をかけてくる。
ボクは振り返りその声の主を見る。
「どうせもう終電なくなっちゃうし」
控えめな服装で大人っぽいが、明らかに十代半ばだろう少女がそこにいた。
ボクは薄らと笑みを浮かべ、答える。
「良いですよ」
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