食卓のアリス

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「チェシャ猫さん」 「なんだい?」 「この人達どうしたの」 「もういらないから捨てるのサ」  チェシャ猫は壁の中の地獄絵図を満足げに眺め、少女の髪を撫でた。 「表向きは養豚所、本命は君を育てる為の施設。可愛いアリス、この人達に感謝しなさい。この人達が君を育てる資金をくれたんだ」  アリスは既に息絶えた老人達を見る。 「でもチェシャ猫さんはいらないと言ったわ」 「うん、もういらない。いなくても養豚でやってけるから」  無表情で片づけ始める社員を確認したチェシャ猫は、アリスを部屋へ連れて行く。 「あの人達はどうするの?」 「そうだねぇ…次の客に食べてもらっちゃおうか」  あんな似非美食家にこの子を食わせてやるものか。  チェシャ猫はアリスを抱き、フフフと嘲った。 ―終―
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