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埃がきらきらと日の光を受けて舞い散る座敷牢の中、アリスは今日も居続けました。
離れの、さらに離れた場所にある小さな蔵。
その中は物置ではなく、広めに作られた座敷牢になっている。
ひんやり冷たい床に一枚ござを敷いただけの何もない牢屋。
冬の今は火鉢だけ、ぽつんと部屋の端に置かれている。
優遇されているわけではなく、事務的に誰かが火を持ってくるのだ。
天井は高く、火鉢程度じゃ寒さはさほどしのげないのだけれど。
その、何もない座敷牢にアリスは一人座っている。
黒髪の美しい赤い着物のアリスは、何をするでもなくただ、座っている。
もう何年になるだろうか…ただただ座り続ける。
なじみの小鳥がちっちと膝の上を歩くのを見ながら、アリスはふぅとため息をつく。
「旦那様はいつお帰りになるのかしら」
小鳥はちっちと鳴くだけ、答えは返ってこない。
アリスはいつ戻るともわからぬ旦那を待ち続ける。
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