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アリスは囲い女、旦那が連れてきた。
旦那はいつも芋虫のように体を曲げ、キセルを持ってふらふらと座敷牢へ来ていた。
ある日旦那はいつものように、アリスの座敷牢にふらり現れる。
「お前は寂しさを教わらにゃいかん」
その日から旦那はアリスの元へ来なくなった。
アリスは何の事だか分からない。
ただただ旦那を待ち続けた。
アリスの周りには沢山の埃が積もって、春夏秋冬沢山巡って、それでも旦那は戻ってこない。
戻ってこない旦那をぼんやり思いながら、アリスは同じ場所でずっと座り続けている。
このまま何百年何千年と座り続けて、いつかは石になって、沢山の小鳥がアリスの周りを飛び回る…。
そんな事を考えながらアリスは空を見上げ待ち続けた。
それでも旦那は帰らない。
埃が何層に降り積もっても、旦那は全然アリスの目の前に現れない。
そして今宵も夫人は怒り出す。
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