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「いい加減出ていったらどうなんだい!鍵は開いているいつでも出られる!さっさと出てっとくれ!そうじゃなきゃご近所に噂されちまうよ」
夫人はいつでも怒っている。
アリスに対していつでも。
夫人は旦那が帰らなくても何とも思わない。
夫人が気にするのは世間体だけ。
どうせ猫とかぼちゃの見分け方くらいしか知らないくせに、とアリスは思う。
とうとう頭に来たアリスは、夫人の頭を引っ付かんで火鉢の中へと押し込んだ。
熱くてもがく夫人を、それでもなお押さえつけて、アリスは小鳥達と楽しげに歌った。
暫くして動かなくなった夫人を床に転がし、アリスはいつもの場所に戻って空を見上げた。
埃はきらきらと光輝いて降り続く。
焼け焦げた夫人の顔はやっぱり怒って見える。
それでも旦那は帰らない。
妻が殺されても知らんふり。
夫人はそのまま放置され、いつか大烏が食い荒らしてしまうだろう。
そんなことアタシには関係なしと、アリスはやっぱり居座り続けた。
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