そこには、三人の人がいました。

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 アリスは今日も時計兎を追いかけます。  毎朝同じ場所を時計を気にしながら通る彼を追いかけ、こっそり物陰から見守るのがアリスの日課なのです。 「時計兎さん…今日も格好いい…」  アリスの視線の先には、大きなシルクハットからのばした兎の耳、細面の目つき鋭い眼鏡の少年。  葡萄茶色のベストがよく似合います。  ぽやーっと眺めていたアリスですが、今日の目的を思い出しいそいそと時計兎の元へ駆けていきました。 「時計兎さん!これ、受け取って下さい!」  手渡したのは兎の形をした時計、可愛くリボン付きです。 「また君か。今日は時計、この前はマフラー、毎度毎度ご苦労なことだね」  時計兎は時計を受け取りじっと眺めています。  アリスはそんな彼をうっとり眺めました。 「大事にしてね!」  アリスはそう言うとパタパタ走り去って行きました。 「大事に…ね」  時計兎は走り去る後ろ姿を見ながらぽつり呟きます。  アリスと入れ違いに、チェシャ猫が来ました。
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