クリスマス

14/18
前へ
/25ページ
次へ
「ありがとう。大事にするからさ、さぁ泣き止んで!急いでるんだろ?飴でも食ってくか?」 俺はメリ子の小さな口にピンク色の飴玉を押し込んで、また涙と鼻水を拭く。 「ありがとう。おじちゃん。帽子似合うね」 「俺こそ、ありがとう」 メリ子のまん丸ほっぺを撫でて、俺の頬も自然とゆるむ。そしてつられて、メリ子も満足そうに微笑む。 「おじちゃんバイバイ。またね」 「ああ、またね」 一文字眉毛を八の字に下げて、笑顔で窓からすり抜けて行くメリ子に手を振る。 またアイツすり抜けて行ったけど、あんな早苗イリュージョンを見せられた後だ。もうなんとも思わない。死期が近いとこんなこともあるんだろう。そう思って空を眺める。 赤い粒は、どんどん小さくなり、見えなくなった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加