それは、夢から覚める瞬間のように。

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 アタシの世界が壊れていく。  アタシが積み上げてきた世界が、アタシの居心地の良い世界が崩れていく。  明日になればきっと、アタシの世界は面白くなくて馬鹿馬鹿しいモノに囲まれて、笑顔だって石膏のように貼り付いたままになるわ。  アタシの世界。  何でも好きなモノになれた、不思議で、面白おかしい世界。  でもそれももうおしまい。  アタシの世界は、積み木が無音で崩れ去っていくように消えていくんだわ。  戻りたい。  戻れない。  死んでいく世界には既に色もなく、モノクロォムの歪な凹凸。  それらは意志を持って蠢いている。  かつて戯れた不思議の世界に住んでいた、美しい生き物達の成れの果て。  それらが動くのも今日で終わり。  明日のアタシの目には、無機質で何故そこにあるのかも分からない、何の変哲もないモノが転がるだけ。  だから
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