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「わ、私は、理沙よ」
問われ、慌てて名乗る。
猫娘が言っていたのはこの人か。
「誰」
「だから、理沙よ」
「そんなのどうでもいい!」
何をしに来たの!とお手玉を投げつけ叫ぶ。
随分なその態度に、あんなガリガリな奴怖くないわと思い直し、強く出る事にした。
「別にアンタに用事があるわけじゃないわ」
「その、目、その、髪」
「何…」
牢の中の人物はよたよたと立ち上がり、いきなりもの凄い早さで太い牢の柵に飛びついた。
「この私への当てつけかい!外へ出られない私への、狐憑きだと言われた私への、居ないものとされた私へのぉ!!」
柵の隙間からじたばたと、伸ばす腕が理沙を捕らえようともがく。
理沙は捕まらない距離を保ち、睨みつけた。
「言いがかりはやめてくれない?アンタの事なんて知らないし!」
「殺ス、殺ス!殺ス!!」
そいつが叫ぶと、人形達は一斉に、ゼンマイの音を立てながら理沙の元へと駆けてきた。
理沙は無我夢中で逃げ、気を失った。
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