20人が本棚に入れています
本棚に追加
目を覚ますと、理沙は母屋で布団に寝かされ、水枕を頭に乗せられていた。
「あんとこにあん階段あったんなぁ、ばーちゃん初めて見たわ」
どうやら理沙は、隠し部屋の鏡の前で寝ていたらしい。
窓はあるとはいえ風通しは良くないので、熱中症にでもなったのだろうという。
あの部屋は昔、世間に出せない子供を隠す為の隠し部屋になっていたらしい。
気狂いの娘がよく出た為、鏡や人形と共にあの部屋に押し込んでいたのだと。
「隠し通路は?」
そんなもんはない、と言われ、理沙は夢だったんだと知った。
「でもな、こんな立派なもんみっけたんで」
祖母はいそいそと廊下に行き、ごそごそと何かを出している。
…キリキリキリ…
…カタカタ…
びくっと体をこわばらせる。
にこやか笑顔の祖母、切れ長な目の…あの茶運び人形が、理沙の方へと…。
…キリキリキリ…
…カタカタ…
最初のコメントを投稿しよう!