~隠し牢~

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目を覚ますと、理沙は母屋で布団に寝かされ、水枕を頭に乗せられていた。 「あんとこにあん階段あったんなぁ、ばーちゃん初めて見たわ」 どうやら理沙は、隠し部屋の鏡の前で寝ていたらしい。 窓はあるとはいえ風通しは良くないので、熱中症にでもなったのだろうという。 あの部屋は昔、世間に出せない子供を隠す為の隠し部屋になっていたらしい。 気狂いの娘がよく出た為、鏡や人形と共にあの部屋に押し込んでいたのだと。 「隠し通路は?」 そんなもんはない、と言われ、理沙は夢だったんだと知った。 「でもな、こんな立派なもんみっけたんで」 祖母はいそいそと廊下に行き、ごそごそと何かを出している。 …キリキリキリ…  …カタカタ… びくっと体をこわばらせる。 にこやか笑顔の祖母、切れ長な目の…あの茶運び人形が、理沙の方へと…。 …キリキリキリ…  …カタカタ…
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