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「優理子―、遅い―!」と私の名前を呼ぶ声がしたので振り向くとそこには懐かしい顔があった。
「ごめん。ごめん。咲と伸の婚約祝い選んでたら遅くなっちゃった。」
「もぉー、優理子は優柔不断なんだからぁ。」
と言って笑う咲。
咲の笑顔を愛おしそうに見る伸…
なんで相手が咲なの?なんて改めて思ってしまう…
「こんな所で話してないで早く中入らない?」
とクールで優しい声が横から聞こえた。
高校時代は何度もこの声が私の心を救ってくれた…
智宏の一言で4人はレストランに入った。
そして、私たちは高校時代にいた変態教師山田陽一のことや高校時代の出来事、かすみと隼人、美優と海人さんの結婚、美優が芸能界デビューしたこと……の話をしていたらあっという間に時間が経った。
3人とも顔や雰囲気、声、服装は全然変わってない…
変わったのは、私と伸の距離……
私の想いと裏腹にどんどん遠くなっていく…
もっと近づきたいのに……
1時になり、私たちはレストランを出た。
私が車に乗ろうとした時、智宏に手を掴まれた。
「ちょっと、どうしたのよ。」
「優理子に話がある。2人っきりがいいからあの観覧車乗りに行かない?」
「う、うん」
話!?何のことだろ?もしかして、智宏まで結婚するとか!?みんな私を置いてかないでよ…
なんて思ってたら、さっきまで私と智宏の前にいた、たくさんの人がいなくなっていて、私たちは列の先頭にいた。
私たちの沈黙は観覧車に乗ってから破れた。
まず最初に智宏が話始めた。
「あのさ…、あの時の告白覚えてる?」
「覚えてるよ…」
あれは、今でもあの時のことのように覚えている。
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