第1章

4/5
前へ
/12ページ
次へ
卒業式の後の謝恩会の途中で智宏が私を近くの公園まで連れて行った。 「ちょっと、何?」 「優理子が友達と楽しそうに話して笑っている顔を見た。オレはその時から“優理子を守ってやろう”って思った。だから、お前が数学の授業であてられた時は答えを教えた。あの時のイジメからもお前を守った。オレは優理子が好きだ。でも、今はオレの想いは届かない。お前がずっと見てるのは伸だから…だから、大学を卒業してから会う時までにお前が伸のことをあきらめてたら、オレと向き合ってくれ。」 という告白だった。 「今日、お前と久しぶりに会ってまだ伸を想ってるってことがよくわかったよ……だから、もうオレはお前のことをあきらめるよ。そろそろ新しい恋始めないとな…」 「ごめんね。ホントにごめん…智宏にはいつも助けてもらってたのに、私は全然智宏の力になれなかった…」 いろんな思いが混ざり合って、私の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。 「謝るなって…別に優理子が悪い訳じゃねぇんだから…あと、お前はオレの力になってくれてたよ。お前の笑顔を見るだけで心が癒されてた。お前にはずっと笑顔でいて欲しい。だから、もぉ泣きやめよ。観覧車1周し たよ。降りよ。」 智宏はすごく優しい。私が智宏のことを好きだったらこんな苦しい思いをしなくてもいいのに……
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加